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2016年6月30日 (木)

カンダタは堕ちる道を選んだ

久しぶりの二次創作です。pixivに投稿しましたがこちらにも倉庫的な意味合いでアップします。ふぉもってるので苦手な方はスルーしてください。

文スト、腐向け、太芥。
直接的な表現はしていませんが、事後です。ピロートークです。

カンダタは堕ちる道を選んだ

芥川は喉の渇きを覚え目を覚ました。
隣りに寝ている人を起こさぬよう、慎重に身体を動かすとサイドテーブルに置かれたミネラルウォーターのボトルに手を伸ばし、キャップを回す。
一口流し込んでこくりと喉を鳴らすとシンとした部屋には思いのほか大きく響いた気がした。
オレンジ色の間接照明に照らされた寝台に寝そべる太宰に視線を送り様子を窺う。いつも自分が身体を起こせばどうしたのと目を開ける、他人の気配に敏い彼には珍しく熟睡しているようだ。
芥川の師として、上司として同じ組織に属していた時は疲れた表情が出ていてもこのように眠っている姿など見せたことはないのに、よほど疲れているのだろうか。それとも、隣りで無防備な寝姿をさらけ出してくれる存在にまで自分を認めてくれたのだろうかと淡い期待を抱いて、そしてすぐに図に乗り過ぎかと戒める。

しかし、この機会はそう訪れるものではない。そう思うともう少し堪能してみたくなる。
しばらくじっと彼の整った顔を眺めていたが、ふと投げ出された手を見やった。数時間前芥川の身体に優しく触れ翻弄していた指先、熱い掌。肌を撫でる吐息や囁きをも思い出して顔に熱がこもるのを感じながら、その手に自身の指を伸ばした。
まず指の腹にそろりと自分のそれを乗せてみる。ちらりと顔を横目で見て、動きがないことを確かめると続けてするすると掌を合わせ、指を滑り込ませ絡めた。

温もりにうっとりとして重なった手と手を見つめていた芥川は気付かなかった。相手が瞼を開け、こちらを見ていることに。
「楽しいかい」
突然声をかけられて芥川はビクリと肩を跳ね上がらせた。と、同時に握っていた手を離そうとするが、それは太宰がその手に力を込めることによって阻止される。
「も、申し訳ありませぬ…」
慌てて謝罪の言葉を口にし再度己の手を引こうとするが、太宰は離そうとはしなかった。そのままやわやわと握られる。
「随分と熱心に眺めていたね。この先如何するのかもう少し様子をみていたかったのだけれど、あまりの可愛さに我慢できなくなってしまった」
ね、と微笑まれて芥川は胸が苦しくなるのを感じた。お互いの指を絡めたままの手元に視線を落としながら囁くように答える。
「太宰さんの寝顔を見られるという滅多にない機会に少し浮き足立ちました。それと、美しい手だと思いまして、目が離せなくなりました…」
「血に濡れた手だよ」
ポツリと返された言葉に、それでも、と思う。沢山の血に染められてもこの人の手は自分にとって美しい手なのだ。この手によって世の底から引き上げられ、そして一度は落とされたとも思った。
落とされて、どこかに垂らされた蜘蛛の糸を掴もうと足掻いていたが、果たしてそれは真に自分が望んでいたことであったのか、今こうして此の人が隣りにいる実状を前にすると解らなくなってくる。
顔を上げれば微笑んだままこちらを見上げる太宰と目が合う。握られた手にさらに力が込められる。芥川は自分が泣きそうな顔をしているのではないかと、ひどく情けない顔をしているのではないかと思う。

蜘蛛の糸など要らぬのです。
只貴方と何処までも堕ちて往ければいいのです。

それは声に出したか出さなかったか。向き合う彼に伝わったのか伝わらなかったのか。
不明のまま引き寄せられ唇が重なった。

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