2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

twitter

ねこちか


picture pieces

  • 手作りシュシュ 6
    日々のカケラたち

好きだ!


  • 笑うかのこ様 1 (花とゆめCOMICS)

« 君の唇に甘露は落ちて | トップページ | 後遺症 »

2016年7月20日 (水)

こっちのみーずはあーまいぞ

twitterでお見かけした「酔ったやつがれちゃんは甘えたちゃんだといい」旨の呟きを見て書いたもの。太芥です。
酔った勢い借りてだざいさんに甘えて強請ってしまえばいい、と思った次第です。
かわいいやつがれちゃんを書きたかったのに子供っぽいだけになってしまった感。
タイトルは動揺「ほたるこい」から。太芥は互いが蛍で、互いが甘い水。

pixiv投稿済み。

こっちのみーずはあーまいぞ

芥川龍之介は下戸である。
未成年であることも関係しているであろうが、ポートマフィアという裏社会の組織にあって年齢による規制など無意味に等しい。酒、煙草、賭博においても出来るものはするし、好まないものはしない、そういうものである。
なので大抵の構成員は組織に属したときから飲酒も経験して、そして日常になっていくのである。
芥川も例外ではなく、太宰に拾われたあとそう遅い時期でもなく酒を口にしている。最初は舐める程度であったので、うまいまずいもなくこんなものであろうという反応であった。
飲ませた太宰も特に問題がないと感じたため、少しずつ量を増やしていくと様子が変わっていった。一口含むごとに頭がふらふらと揺れ舟を漕ぎはじめたのである。
ついにはビール一杯程でこてり、と寝てしまった。
年齢を重ねていけば飲めるようになるやもしれないが、今のところアルコールを飲ませるのは控えようと思った太宰であった。
また太宰は芥川にも自分がいないところでの飲酒を禁じた。

飲めないところで下部構成員である芥川に不都合はなかった。幹部やそれに準ずる立場であれば酒の席につくこともあるが、下の者たちは送迎に借り出されるのが関の山なので、まず飲む必要はない。
それに芥川は太宰直轄の部下なので何をするにも彼の許可がいる。芥川が自分から言いつけを破ることはありえないし、組織の者たちも切れ者と称される最年少幹部が自ら連れてきたお気に入りに対して、不都合なことをして返される仕打ちを考えるとわざわざ飲ませたりもしなかった。
そのため芥川が直接酒を勧められたとしても、難なく断ることが出来たのである。

しかし、酒を勧めた相手が太宰以上の権限の持ち主、首領である森鴎外であった場合は別である。

「芥川君は飲めないんだっけ?」

そう森に言われたのは内輪でのささやかな慰労会が行われた席で、太宰に連れられ森の元に挨拶に来たときであった。ささやかな、と言っても幹部クラスとその直属の部下たちやそれぞれの部隊長クラスとそれなりの規模であり、会場もポートマフィア傘下のホテルを貸し切って、終わり次第上階の部屋に宿泊というコースである。
何人かの幹部たちが挨拶をし終わり、太宰の順番が回ってきた頃には皆ほどよく酒が馴染んでいた。

「はい…あ、いえ、飲めぬ訳ではないのですが…」

聞かれた芥川は言いよどみ、太宰の方を見た。目線で助けを求められた太宰は息を一つつくと口を開いた。

「とても弱くて、すぐ寝てしまうのですよ」

太宰が肩をすくめてみせると森はその様子を見てふうんと声を出すと続けた。

「じゃあ、今日は飲んでもいいんじゃない?眠くなったらすぐ上の部屋に移動すればいいんだし」

ねえ、と森は微笑む。

「あ、もちろん強い酒は勧めないよ。軽いものを少しね、それなら大丈夫だろう?」

組織のトップにこう言われてしまっては幹部と言えども異論を唱えることは難しい。太宰が珍しく困惑の色をその顔に現したが、それ以上に芥川はどうしたらいいのかわからずにひたすら太宰の顔を見つめ続けるだけである。はあ、と息を吐き太宰は芥川に向かって言った。

「首領からのお気持ちだ。頂きなさい」

「はい」





さて、それがどういう結果となったのか……

「だざいさん」

「芥川君、降りてくれないかな」

「いやです」

「いや、って君」

太宰と芥川に宛てがわれた客室の寝台の上、太宰は芥川にその膝上に乗られている。上目遣いに太宰の顔を覗き込んでいる芥川の顔はアルコールのせいでほんのりと上気していた。潤んだ目で太宰を見つめている。

太宰は酒宴の席での様子を思い返した。
首領に勧められて出されたのはカクテルだった。縦に長さのあるグラスだったが細身で量もさほどではないだろう。言ったとおり飲み口は軽くゆっくりと時間を掛けて飲めば問題ないだろうと思ったが、ベースとなる酒がウォッカであった。
芥川もスローペースで飲むつもりではあっただろうが、組織のトップ近くでという状況が一層の緊張を呼び、軽い飲み口が仇となりつい自分のペースを崩してしまった。
太宰も隣りで注意深く様子を見ていたが、少し席を外している間に二杯目が用意され口をつけてしまっていた。
案の定二杯目の半分を飲んだあたりで芥川が舟を漕ぎはじめたのである。声を掛ければ覚醒し受け答えが出来る程度ではあるが、目元はとろんといつもの眼力が薄れてしまっていた。

「芥川君は眠そうだねぇ」

森が言うのを聞き取って、芥川はがばりと顔を上げ「いえ」と答えるがその次が出てこない。森は面白そうに笑いながら太宰を見た。太宰はそれを受けため息まじりに言う。

「私たちはそろそろ下がってもよろしいでしょうか」

「ああ、いいよ。遅くまで悪かったね。芥川君も今日は一緒に飲むことが出来てよかったよ」

森が言うのを合図に太宰は立ち上がり、芥川もそれに続いた。ふらりと傾く芥川の身体を支えながら「それではお先に失礼します」と礼をし退席したのだ。

そして部屋に戻り寝台へと芥川を促すと、彼はぐいと太宰の服を掴み引き寄せてきたのだ。太宰が予想していなかったことに一瞬の隙を見せると、芥川はその膝ににじり寄ってきたのである。

「眠いのだろう?風呂はあとでもいいから寝てしまいなさい」

太宰がその肩をぽんぽんと叩いて言うと芥川は頭を振って拒否を示す。

「やつがれはいいつけをまもりました。だざいさんのいるところでさけをのみ、つぶれてもおりませぬ。ほうびをください」

いや、舟を漕いでいたら同じではないか、とも思ったが、首領の近くで頑張ってはいた訳だし、このように芥川が褒美を強請ることも珍しいのでひとまず話だけでも聞いてみることにした。

「褒美って、何が欲しいというんだい」

「くちづけを…してください」

「は?」

我ながら間抜けな声が出たと太宰は思った。
くちづけ?口づけといったか、この子は。ますます分からなくなった太宰は再度芥川の顔を見つめると、酔いのせいだけではない朱色が耳を染めているのが分かった。
気がつくと太宰に寄越す目線も部屋に着いたときよりもはっきりとした意思が見て取れる。

「そういうことは酔いに任せて言うものではないと思うけれど」

本来の調子を戻して太宰が言えば、芥川は勢いをなくして俯きながら言った。

「酒の所為にしなければ言えぬことゆえ…それに、以前酔った姿が可愛いと言ってくださいました」

言った、確かに自分はそのようなことを言った。言って、口づけたなと思い出して太宰は頭を抱えたくなった。訓練や作戦遂行で教えたことは頭が弱いのかというほど忘れる、もしくは意識の外に飛ばす、のにそういうことは覚えているのか、とか思ったが、しかし、そこで何故口づけなのか。疑問に思ったので直接ぶつけてみた。

「なんでまた口づけなんだい?」

すると芥川はまごまごとしながら、さらに小さな声で言ったのである。

「きもち、よかったので…」

彼は今、何と言った?気持ちよかった、と。私とのキスが?
太宰は自分はそれほど酔っていないと思っていたが、くらくらしてくるのを感じて戸惑いはじめた。その間も芥川は太宰の膝から降りる気配はなく、それどころかちらちらと視線を送ってくるのである。

「どうしても、だめ…でしょうか」

遠慮がちに聞いてはくるが自分から引き下がるつもりはないらしい。太宰はだんだん何に惑っているのか分からなくなり、馬鹿馬鹿しくもなってきた。
どうしてもいけないことはないし、酔ってとろりとした表情の芥川が可愛いのは事実だし、キスが気持ちよかったと言われて悪い気はしなかった。
要するに、滅多に見せない甘えるような態度の芥川に太宰はいつものペースを乱されたことが認められなかったのだ。
いいだろう、せっかくの申し出だ。そのかわり乱されっぱなしなのも癪なので、少しハードルを上げることにした。

「いいよ」

そう言ってにっこりと笑えば、ぱあっと表情を明るくした芥川と目が合う。

「いいけど、君から私にしたまえ」

「え…」

目を丸くする芥川に太宰はやっと自分のペースに戻すことが出来たと気を良くした。言われた芥川は「え、あの、いや」などと呟きながら、手を口元に持っていったり首を傾げたり忙しなくしている。太宰はその様子を楽しみながら自分は体勢を変えず「さあ」と促したり、「出来ないのかい?」と煽ったりした。
煽りが効いたのか芥川は意を決したように顔を上げた。

「できます」

言ってそうっと顔を近づけてきた。上目遣いにこちらを見てきた瞳は長い睫毛に隠されるように伏し目がちになり、その唇が太宰のそれにたどり着く頃にはぴったりと瞼が閉じられていた。
ふに、と合わされた唇はそれだけで動こうとはせず、太宰はやはりな、と思った。
芥川は口づけの仕方を知らないのだ。
唇を合わせたまま固まってしまった芥川の肩をそっと押して、太宰は顔を離した。すると芥川は息を止めてしまっていたのか、ぷはっと息を吐き出し目を開ける。

「芥川君、それでは気持ちよくならないのでは?」

意地悪くにやにやと笑って言えば、さらに顔を赤くした芥川がもごもごと口を動かした。

「どう…すれば」

「もう一度きてごらん」

言われて芥川は素直に顔を近づける。お互いの息が感じられるくらいの距離まできたとき太宰はこう付け足した。

「唇に力を入れないで、うすく開いてみて」

芥川がちろりと隙間から舌の赤色が覗けるくらい口を開いたのを見て、太宰はすかさず口づけて自身の舌を滑り込ませた。
そうして芥川の舌を絡めとるとくちゅりくちゅりと態とらしく音を立てて吸い付ける。顔の角度を変えたりして続けているとされるがままだった芥川もたどたどしく舌を動かし、絡め吸い付くようになり、しばし行為に没頭した。
んっく、んっくと芥川の息が上がってきたのを感じて、太宰は一度口を離す。
お互いの唾液に濡れた芥川の唇がつやつやと光り、実に扇情的だ。

「口づけとはこのようにするんだよ」

太宰がするり、と指を芥川の頬から顎に滑らせ上を向かせると、とろりとした瞳と視線が絡む。
「どうだい?」と訊ねてみれば、芥川は太宰の胸元に手を伸ばしシャツを掴んだ。

「もっと、ください」

真っ直ぐに見つめられて強請られては、断る理由が見つからなかった。

« 君の唇に甘露は落ちて | トップページ | 後遺症 »

二次創作」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: こっちのみーずはあーまいぞ:

« 君の唇に甘露は落ちて | トップページ | 後遺症 »