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2016年7月19日 (火)

君の唇に甘露は落ちて

太芥聖典シュシュアリス読みました記念。
妄想だと思っていたことが事実とわかって震えている。

pixiv投稿済み。

君の唇に甘露は落ちて

芥川は太宰の手から勢いよく電気ブランの入ったグラスを奪うと、ぐい、と中身全てを呷った。
そして太宰があれ、と思う間もなく芥川はテーブルの上にぱたりと伏せてしまった。

「芥川くーん」

肩をゆさゆさと揺すって声をかけてみるが、う…という微かな唸り声を上げるだけで起きそうにない。
下戸だったか…太宰は声には出さず思うと、手を上げて空になってしまったグラスを指差し同じものをもう一度注文した。
下戸も何も芥川がアルコールを口にするのは多分これが初めてであろう。酒というものがどういうものか知識としてはあったかもしれないが、実際に飲んでみるまではどんなものかわからないものだ。
初めて口にした場合でも体質的に平気な人間もいれば、全く駄目な人間もいる。芥川は後者だったというわけだ。

さあて、どうしたものかな。
新しく運ばれてきたグラスに口をつけながら、太宰はいまだ伏したままの芥川に視線を落とした。
その顔はいつも以上に幼く柔く見えた。



頭がずきずきする。喉がからからだ。
不快感を感じながら芥川が目を覚ますと、傍らに人の気配がする。ぼんやりとしたまま、気配のする方向に頭を動かせば己の師であり上司である太宰が同じ寝台の上にいた。
サイドテーブルに置かれたベッドライトの明かりをたよりに、うつぶせで文庫本を読んでいるようである。

「だざいっさん」

芥川は慌てて身体を起こす。と、頭がぐわぐわと鳴り出してくらくらとした。頭を抱えて俯く。

「ああ、急に動いちゃ駄目だよ」

太宰も身体を起こし、芥川の背中を撫でた。

「どうだい?どこか具合の悪いところはない?吐き気は?」

背を撫でながら太宰は芥川を労る言葉をかける。芥川は「はい、大丈夫です」と答えながらこれまでのことを思い出そうと懸命になるが、何がどうしたのかさっぱり浮かばない。
そんな芥川の様子を眺めて、くすり、と太宰は笑いをこぼした。笑われたことに気がついたのか芥川がそろそろと顔を上げてこちらを見てきた。

「僕が何か粗相をしたでしょうか…」

恐る恐るといったように聞いてきた芥川に太宰は口を開く。

「芥川君、度数の高い酒をあんな風に一気に飲むものではないよ。慣れていない人間は急性アルコール中毒症を起こしてしまうからね。まあ、今回は寝てしまっただけでよかったよ」

にっこりと笑みを見せれば、芥川の白い頬が朱色に染まっていく。

「ご迷惑をおかけしました…」

やっとのことで芥川が声を絞り出すと、「それと」と太宰は続ける。

「私のいないところで酒を飲むのは絶対にやめたまえ」

「はい」

素直に頷く芥川の顔に自分のそれを近づけて太宰は囁く。

「あんなに可愛い顔は誰にも見せるな」

太宰はまだアルコールの香り残る唇で芥川に接吻けた。

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