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2016年8月31日 (水)

籠の鳥

チャレンジ一日一太芥。
やつがれちゃん女体化、ご注意ください。

籠の鳥

自分は異能力を認められてここに居るのだと思っていた。否、未だ認められているとは言いがたいが、異能力で彼の人の役に立ててこその自分だと自覚していた。
だのに……

「君には私の子を産んでもらうよ」

目の前の男、自分を貧民街から連れ出し生きる意味を与えた師であり、今属する組織の上司である太宰治は彼の執務室で机の前で直立する部下つまり自分、芥川龍之介にそう告げたのである。
しかし告げられた本人は急なことに思考がついていかない。確かに自分は生物学上の性別は女性で、貧民街に居た時分は不規則だった月経周期も拾われて充分な栄養と休息を与えられたことによって、規則的な周期で訪れるようになった。身体的な意味であれば妊娠は可能であろう。
だが自分は太宰の部下として、異能力羅生門を使って組織ポートマフィアのために仕事をすることを目的に起用されたのではなかっただろうか。
元々凹凸のない体つきであったので、支給された大きめのブラウスと拾われた夜に太宰から与えられた長い外套を身につければ身体のラインなど分からず、衣服を鋭利な刃物に変えて操作する異能力のために髪の毛も邪魔にならないように短く刈っていた。
ごくごく一部の人間を覗いてはその容姿から少年として認識されていたし、わざわざ訂正する必要も感じなかった。逆に女と思われて色々と口や手を出される心配がないと、太宰も男のままで通すことを容認していたはずだ。

それが定期的に受診していた健康診断の結果が出たからと呼び出されて来てみれば、先ほどの太宰の台詞である。芥川は目を丸くして言葉を探した。
妹と共に保護されてから姉妹で定期的に健診は受けていた。栄養状態は同年代に比べて低かったし、生活環境は劣悪で伝染病や先天性の疾患などを心配されたためだ。
検査項目に婦人科も含まれていたが、自身の性別が女性である以上それも当然だろうと、特に気にも留めていなかった。
その目的が太宰の子供を妊娠、出産することにあったとは疑いもしなかったのだ。
疑いを持たなかった理由が、まず第一に先に挙げた芥川の異能力を必要としていたと認識していたこと、そして第二に太宰の傍らには常に美しい女性の存在があり途切れなかったことである。

太宰は女性に好意を寄せられることが多かった人物である。同僚、部下や取引先の人物など男性に対しては容赦なく厳しい態度を取ることが多かったが、こと女性には優しく紳士的に接した。それでいて自殺や心中をほのめかしては危うい言動を取り、それが女性の所謂母性といったところをくすぐるのか、声を掛ければ断るものはいなかったし、向こうから誘いを掛けてくる場合にも来るものは拒まずで受け付けていた。
そんな女性たちの存在を芥川はもちろん把握していたし、実際に連れ添って出かけていく姿も見たことがある。そのことに対しても芥川は何か思うことはなく、むしろ自分は太宰と付き合う女たちが連れ立って行けない仕事の場に行ける唯一の女性であると、その時ばかりは自分の性を意識した。
太宰はよく女たちと付き合ってはいたが、誰か特定の人物に固執することはなく去る者は追わずで、隣りに立つ女の姿はいつも違っていた。

そういった中で自分は変わらず太宰の隣りに立てる。今は未熟だが訓練を重ね、経験を積めばいつかは太宰の右腕になれるのではないか、なることを目標に勤めていこうと思っていた矢先の出来事に芥川は言葉をなくす。
何も言わず立ち尽くす芥川に太宰はにっこりと笑顔を見せた。

「さっそく今日から子作りだね。大丈夫、何も心配しなくてもいいよ」

ー全部教えてあげるから……

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