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2016年10月10日 (月)

電池残量が少なくなりました

twitterタグ消化、5rtでハグしてる太芥。学パロです。
タイトルセンスがない……

電池残量が少なくなりました

「クラス展示?」
口に入れていた卵焼きを咀嚼し飲み込んだあと、太宰は目の前に座る芥川に聞き返した。広げた弁当箱に箸を付け今しがた太宰が食べたものと同じ卵焼きを芥川は口に運んでいた。
そう大きくない卵焼きだったが、芥川の口中に入ると薄い頬肉がぷっくりと膨れげっ歯類の食事を思わせた。ゆっくりと噛みながら口の中のそれを喉の奥へと流し込んでいく。
「ええ。我がクラスは教室展示の担当で、僕は図書委員の仕事もあるゆえ昼休みに作業を手伝うしかなく、しばらくこちらで一緒に昼食を摂るのは難しいかと」
先日までは昼休みを屋上で太宰と芥川は共に過ごしていたが、いよいよもって風が冷たくなり落ち着いてものを食べるという季節でもなくなった為、使われていない空き教室に場所を替えていた。

芥川はほとんど毎日を弁当持参であったが、太宰はだいたいが購買やコンビニで調達してきた調理パンや菓子パンの類いであった。その為いつしか芥川の弁当のおかずを摘むようになり、高校生男子にしては小さめだった彼の弁当箱は太宰の分も入るようにそれ相応のものに変化していった。
「そっかー、それじゃ文化祭の準備が終わったら、また一緒に食べよう」
言って太宰はあ、と口を開けてみせた。芥川は一瞬動きを止めて、次に自分の箸先を見た。茹でたブロッコリーを掴もうとしていたところで、太宰はそれを口に入れろと言っているらしい。
先ほどまでは自身の手を伸ばしてあれこれ摘んでいたのに、たまに太宰はこういった気まぐれを起こす。散々口を付けた箸で渡していいものか躊躇ったが、再度、あ、と言ってくる太宰に観念して芥川は鮮やかな緑色を相手の口に持っていった。
太宰は芥川の箸を口に迎え入れるときゅと咥えてゆっくりと顎を引いた。

芥川が言ったように校内は文化祭の準備でそわそわと落ち着きをなくしていた。
この学校の文化祭は大きくふたつに内容が分けられていて、テーマを決めて教室内に研究発表や制作展示をするクラス展示と、飲食物やバザー等販売をする模擬店がある。
受験を控えている三年生は比較的準備の楽なクラス展示を選ぶことが多く、準備も当日も忙しい模擬店は二年生が中心となる。新入の一年生はクラス展示と模擬店担当とクラスが分けられ、芥川のクラスは展示に振り分けられたのだ。
その他に申請制で部活動が模擬店を出したり、演劇やブラスバンド等の発表会もある。
一般公開日には図書室の開放もある為、図書委員の芥川はそちらも準備やカウンター当番があるらしい。
その事を数日前、太宰との昼食時に告げたのであった。

「ああ〜芥川君に会いたい」
太宰は机に突っ伏して溜め息をついた。伏せた頬の下にくしゃりと音を立てた紙が何枚かあったようだが、確認するのも面倒だった。
あー、うー、と唸っているとぱっこーんと小気味いい音が自分の頭から発せられた。
「痛い……」
尚突っ伏したまま呟くと頭上から不機嫌な声が落ちてきた。
「痛い、じゃない。太宰、貴様が顔の下に敷いているのは生徒会の重要な書類だ。早くその頭をどけろ」
のろのろと太宰が顔を上げると仁王立ちした同級生の国木田がそこに居た。表紙に「理想」と書かれた見慣れた手帳を手にしている。太宰の頭を叩いたのもそれだろう。
「国木田くぅん。落ち込んでいる級友に対してその仕打ちはないんじゃないの……」
叩かれた頭を摩りながら不満を言葉に出せば、机上に散らばった書類をさっと集めつつ国木田が言った。
「生徒会の役員でもない奴が勝手に生徒会室に入ってきて何を言う。皆文化祭の準備で忙しいのだ。暇を持て余しているからといって邪魔をするな」
言われて太宰が周りを見渡せば、生徒会のメンバーが遠慮がちにこちらに視線を送っているのが目に入った。この時期生徒会にせよ部活動や委員会にせよ、三年から二年へと取り纏めの引き継ぎがされていて二年一年が中心となって動いていることがほとんどなので、無関係とは言え三年の太宰に退室を促せるものがいないのである。

「だってぇ、ずうっと芥川君と一緒にお昼をしてたから、久しぶりの一人の昼休みにどう過ごして良いのか分からないのだよ」
片付けられ綺麗になった机の上に太宰はまた顎を載せる。それをちらりと横目で見やって国木田は聞いてみた。
「よくつるんでいた女子どもはどうした。声を掛ければ何人かは付き合ってくれるんじゃないのか」
重ねた書類を一枚一枚捲りながら国木田はそういえばここのところ女子たちと一緒にいる太宰の姿を見ていないな、と気がついた。つるんでいればいたで喧しいので、静かな分には問題ないと思っていたが。
すぐに返事が返ってこない事におやと思って、もう一度太宰の方を見てみれば難しい顔をしていた。そして、うーんと唸ったかと思うと苦笑しながら言ったのである。
「放っておき過ぎて一人で居るところを見つかると争奪戦が始まっちゃうんだよね……」
ははは、と乾いた笑いを零す太宰に国木田は掛ける言葉が見つからなかった。

結局芥川と会えない日が一週間続いた。
その間メールでのやり取りはあるし、堪らず電話を掛けたこともあった。何でも無い近況報告だけの短い会話を一回だけ。
太宰としてはもう少し長く話がしたいと考えて掛けてみたのだが、スピーカーの向こうで眠そうにしながらもどうにか会話を続けようとする芥川に無理をさせるのが忍びなくて、早々に切り上げてしまった。
おやすみの挨拶をして通話を切ろうとした直前に聞こえてきた「ごめんなさい」の囁きが太宰の耳の奥に残っている。
やる気のないまま朝起きて登校の支度をしていたら、芥川からメールが届いた。

”クラスの方も一段落ついたので、宜しければ今日のお昼ご一緒しませんか?”

一度視線を外してもう一度文面を確かめる。
と同時に指先は画面を滑り「もちろん」と返信の内容を打ち込んでいた。

昼休みを告げるチャイムが鳴るとすぐに席を立ち廊下へと出ていった。足取りも軽くいつもの空き教室に向かう。
あの後さらに芥川から弁当を二人分用意してくる、というメールが来たので今日は手ぶらで行く。スキップをしそうな勢いで廊下を歩いていると、時々すれ違う生徒たちがこちらをちらちらと見てくるのに気付くが構ってはいられない。
待ち合わせの教室が見えてくると鼻歌も出てきたが、それもまあ仕方のない事だ。
がらりと音を立てて教室の扉を開けると窓際の席に荷物を置こうとしている芥川が見えた。芥川も扉の音に気付いたらしく、入り口を振り返り太宰の姿を認めた。
「あ、太宰さん。お久しぶりです」
ふにゃり、と微笑んで小さく頭を下げる芥川に太宰は足早に近づき言葉を掛ける間もなく抱きしめた。
ぎゅう、と腕に力を込め芥川に覆い被さるようにその首元に太宰は顔を埋める。いきなりのことに頭の追いつかない芥川は「あ、あの……」と言いながら腕を泳がせた。
すん、と鼻を鳴らして芥川の匂いを吸い込んだ太宰は顔を上げ顎を彼の肩に載せて言った。

「はー、芥川君だぁ……」

すりすりと芥川の髪に頬を寄せる太宰に、芥川はくすりと笑い空いていた両腕をその背に回した。
きゅう、と抱きつくと芥川も太宰の胸元に顔を密着させて息を吸い込んだ。
「充電します」
芥川が告げると太宰もくすくすと笑い出す。
「うん、私も芥川君が足りなかったよ」
お互いの腹の虫が空腹を主張するまで抱き合っていた。

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コメント

初めまして、pixivにて初期の作品から読ませていただいてます。どれも好きですが特にこちらの学パロシリーズ、ほのぼのした雰囲気と太宰さんが芥川にふんわり優しい世界線が、堪らなく好きです!
これからも楽しみにしています。

>イリヤさん
はじめまして。コメントありがとうございますm(_ _)m
pixivでも読んでいただいているようで重ねてありがとうございます。
とにかく太宰さんとやつがれちゃんを仲良くさせたい一心で自身の萌えに忠実に好き勝手に書いている学パロですが、少しでも楽しんでもらえているのならこんなに嬉しいことはありません!
もうしばらく続く予定ですのでのんびりおつき合いくださると嬉しいです(o^-^o)

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